馬車、電話交換手、AIの発展と働き方の変化

AIの発展によって労働時間が少なくなっていく、という言説を目にします。現在のさまざまな労働をAIが代替して、フィジカルAIも出てくれば、人があくせく動かなくても良くなる、と。

本当かな、と正直なところ思います。

自動車が生まれて馬車はなくなったものの、自動車産業が生まれ、そこに従事する人は馬車時代とは比較にならないくらい多くなりました。

電話交換手という仕事は消えても、NTTの従業員数は増加した。通信業に携わる人はより増えていき、KDDIもソフトバンクモバイルも電話交換手が必要だった時代からずっと後に誕生しています。

私が社会人になって初めて担当した仕事は、資格試験の予備校で答練(テスト)やテキストを編集するものでしたが、それには大きく2つの業務がありました。一つは、原稿(作問)を担当する講師から原稿を受け取ること、もう一つはその原稿を別の講師に依頼してミスがないかチェックを依頼することです。

ここで原稿のチェックは印刷した原稿に直接赤入れをするため、チェックを依頼した講師の自宅に原稿を宅配便で送り、またそれを宅配便で戻してもらうという工程になっていました。チェック担当の講師は締め切り日までに予備校の事務局に届けるため、前日にはコンビニなどに赤入れした原稿を持ち込む。

一方で、原稿(作問)自体を作成する講師はWordファイルで作成して電子メールで事務局に送る。事務局が受信するのは、おおよそ締め切り日の当日の夜(もしくはそれ以降)になります。

つまり、宅配便を使う場合は前日までに仕事を終える必要があり、電子データで送る場合は、締め切り日の当日まで仕事ができる。

もしEメールが存在せず、最初の作問原稿も現物を直接事務局に届ける仕組みであれば、締め切り日の前日までに仕事が終わるのではないか、と締め切りを過ぎた講師に原稿の催促をするのがメイン業務だった私はつくづく思いました。

まとめると、通信技術の発達は、仕事の時間を伸ばすことにつながりました。

今後は作問自体をAIがするからさすがに人間の労働時間は減るのではないか、という見方もあるかもしれません。確かにその部分ではそうかもしれませんが、おそらく作問はしなくなったものの、まだ聞いたことがない新しい仕事が作られていく、という現象が発生してくと思います。

一般事務はなくなり、新しいネオ事務が生まれる。ネオ事務の内容はよく分かりませんが、営業と一般事務の境界があいまいになっていくような気がします。

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