ベジタリアンより糖質制限の方が人気がある理由

血糖値の安定化のためにたんぱく質が重要

三大栄養素は炭水化物、たんぱく質、脂質で、これにビタミンとミネラル加えると五大栄養素になる。このうちどれも大切であるが、その中でも重要性が高いのは何か。たんぱく質。管理栄養士がセミナーをしてもいつもたんぱく質の重要性を強調しているし、以前、姫野友美先生の講演会を聞いた時もたんぱく質が大切だと言われていた。診療内科の立場からも糖質量のコントロールが重要というテーマ。

たんぱく質の必要量

出典:厚生労働省「食べて元気にフレイル予防」P8

たんぱく質はどこまでも大事だとして、それでは実際に必要量は取れているだろうか。こちらの図は厚生労働省「食べて元気にフレイル予防」に掲載されている図で、高齢者が1日に取るたんぱく質の目安が書いてある。

かなり多い。

多分相当意識してメニューを考えないと満足な水準を満たすのは難しいのではないだろうか。

試しにたんぱく質80gを食事から取るとなると、このような感じの食材を準備する必要がある。ご飯にお味噌汁、野菜を使ったおかずという一汁一菜のような献立は、たまには良いかもしれないが、たんぱく質という観点からみるともう一工夫が求めらる。

私の予想では、近い将来、介護施設でプロテインを入居者の方に飲んでもらう光景が見られるのではないと思う。たんぱく質を効率よく体に取り込むには、今のところ最も合理的な方法である。

たんぱく質をどうやって得るか、というのは食文化を考えるときに重要な話で、社会科の教科書に「狩猟採集民族」は出てても「狩猟をしない採集民族」の紹介がないのは(あったらすみません)、おそらくたんぱく質を摂らずに何世代も生き延びるのが難しいからではないだろうか。長野県の田舎では田植えをしながら田んぼでイナゴを取り、チベット民族の生活はヤクとともにあった。

さまざまな食事法が提唱されているが、たんぱく質の量が多い方が広まりやすい気がする。ベジタリアンより糖質制限の方が人気がある(Googleの検索結果で2倍くらいの差がある)のは、糖質制限の方が肉や魚を食べる量が増え、結果としてたんぱく質を摂る量が多いから、だと個人的には分析している。

さて、たんぱく質と血糖値の関係で言えば、もちろん血糖値を安定化させるうえで重要である。基本的に血糖値は糖質によって上がるとすれば、エネルギーと栄養を取りながら血糖値を上げないという点で、たんぱく質の優秀さは際立つ。

小松陽平

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